
LINE公式アカウントを中心に、LINEを活用した顧客とのコミュニケーションやマーケティングは、多くの企業にとって欠かせない取り組みになっています。
一方で、「メッセージを一斉配信するだけでは効果が頭打ちになる」「友だち数は増えているのに、成果につながらない」
といった課題を感じている企業も少なくありません。
加えて、配信数が増えるほど通数課金によるコストや運用負荷が高まり、それに見合う成果が得られず、費用対効果(ROI)に課題感を抱える企業も増えています。
また、個人情報保護やCookie規制の影響により、企業自らが取得・管理する1st Partyデータの重要性は、生成AIの活用が進むことで、さらに高まっています。
その中で、顧客データをどのように取得・活用していくかは、今後のマーケティングやCRM活用を左右する重要なテーマになりつつあります。
こうした背景から注目されているのが、LINE上のユーザーと自社の顧客データを紐づけ、成果につながるコミュニケーションを実現するための「LINEのID連携(LINEアカウント連携)」です。
ID連携を行うことで、無駄な配信を抑えながら成果につなげる設計が可能になり、配信コストと効果のバランスを改善すると同時に、AI活用にも耐えうる顧客データ基盤を整えることができます。
本記事では、LINEのID連携の基本的な仕組みをはじめ、導入によって実現できるメリット、活用事例、成果につなげるためのポイントを解説します。
LINEのID連携(LINEアカウント連携)とは、自社サービスのアカウント(会員ID)とLINEユーザーID(User ID)を紐づけることです。※ LINEアカウントのID連携には、ユーザーの許諾・同意が必要です。
ID連携を行うことで、LINE公式アカウントの友だちが、自社の顧客データベース上のどの会員にあたるのかを判別できるようになります。
これにより、属性情報や購買履歴、会員ランク、利用状況といった自社が保有する顧客データ(1st Partyデータ)を活用し、LINE公式アカウントを通じたより精度の高いコミュニケーションが可能になります。

LINEは、企業にとって生活者との距離が最も近いチャネルのひとつです。
一方で、LINE公式アカウントの友だち情報だけでは「誰に」「いま」「どんな関係性を築くべきか」を判断することはできません。
LINEのID連携によって、会員IDとLINEユーザーIDが紐づくことで、CRM上の顧客データを前提に、LINE活用を設計できるようになります。これにより、短期的な反応を追う配信だけでなく、顧客との関係性を中長期で捉え、継続的な関係性構築を前提にLINEを活用できるようになります。
以降の章では、この3つの観点について具体的に見ていきます。
▶︎ マドラス株式会社
マドラスでは、EC・店舗を問わず商品を購入したお客様と継続的な関係性を築いていくことを目的に、LINEログインによるID連携を導入しました。
LINE上のユーザーを会員データと紐づけることで、購買履歴や関心を踏まえたコミュニケーションを可能にし、LINEを短期的な施策ではなく、CRMと連動した顧客接点として活用しています。
その結果、ID連携ユーザーのアクティブ率は未連携ユーザーの約1.3倍となり、中長期の関係性を前提としたLINE活用が成果につながっています。

LINEを軸にしたEC・店舗連携が“顧客理解の起点”に。マドラスが実践する、“買いたい瞬間”に応える導線設計と顧客インサイトの活かし方
LINEのID連携によって、自社サービスのアカウント(会員ID)とLINEユーザーIDが紐づくことで、会員登録状況や購入・応募履歴、会員ランクといった自社で保有する1st Partyデータを基に、配信対象を設計できるようになります。
これにより、すべての友だちに同じメッセージを送るのではなく、「誰に、何を、どのタイミングで届けるか」を設計したLINE運用が可能になります。
その結果、配信内容やタイミングを会員データに基づいて最適化でき、同じメッセージであっても反応率や成果が改善します。
そのため、LINEを単なる配信チャネルではなく、成果につながるコミュニケーション施策として活用できるようになります。
▶︎ 株式会社キャリアデザインセンター(女の転職type)
女の転職typeでは、LINEのID連携によって、応募状況や検討フェーズといった会員データをもとにセグメント配信を実施。その結果、LINE経由の応募数が約7倍に増加しました。
会員データを前提に「今、誰に届けるべきか」を明確にしたことが、成果につながった代表的な事例です。
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LINE経由の応募数が2年で7倍に伸長!行動データに即したメッセージ配信で成果を上げる「女の転職type」
LINEのID連携を行うことで、本当に必要な会員だけに配信する設計を前提とした、メッセージ配信の自動化が可能になります。
これは単なる運用効率化ではなく、通数課金による配信コストが増えがちなLINE施策において、ROIを改善するための重要な仕組みです。
ID連携を前提にすると、会員登録、購入・応募、一定期間の未利用といった会員データ上の状態変化をトリガーに、配信を自動化できます。
その結果、必要な人にだけ、必要なタイミングで配信する運用が可能になり、配信コスト・人的リソース・成果のバランスが取れたLINE運用を実現できます。
▶︎ ナースリー(株式会社ナースステージ)
ナースリーでは、LINEログインによるID連携を導入し、会員データを基にしたLINE活用を推進しています。
LINE公式アカウントの従量課金制を前提に、「少ない通数で、よりお客様のニーズに即したメッセージを届ける」ことを目的として、セグメント配信の基盤づくりに取り組みました。
その結果、エンゲージメントの高いお客様への配信や、購買履歴・誕生月ごとにセグメントしたクーポン配信が可能となり、LINE経由の売上が伸長。リピート購入を含めた売上拡大につながるLINE運用を実現しています。
ID連携を前提とした設計により、配信効率と売上貢献の両立を実現した、ROI改善の代表的な事例です。

LINE活用でリピート売上が新規売上を逆転! ECサイトのお客様と「ゆるく・長く」つながるための、LINEログイン活用術。
LINEのID連携を行うことで、自社の会員IDとLINEユーザーIDが紐付き、店舗・ECをまたいだ顧客の行動や状態を会員IDを軸に一貫して捉えながら、LINEでの体験設計やコミュニケーションに活かせるようになります。
LINEのID連携は、オンラインとオフラインに分かれていた顧客の行動を、ひとつの流れとして捉え、LINEでの一貫した顧客体験を支える土台になります。
▶︎ 株式会社ポーラ
ポーラでは、LINEのID連携を通じて、店舗とECそれぞれで管理されていた会員情報をLINEと紐づけて活用しています。
その結果、会員登録や購買履歴を踏まえた案内をLINE上で一貫して行えるようになり、チャネルを意識させない顧客対応を実現しています。
オンライン・オフラインを分断させない、一貫した顧客体験につながった代表的な事例です。

未来のお客様から既存のお客様まで。”顔がみえるお客様”を増やす ポーラの顧客接点獲得戦略とは?〜POLA ID×LINEのID連携でデジタル会員証、最適な顧客体験を実現〜
LINEのID連携を導入するには、LINE APIである「LINEログイン」または「Messaging API」を活用する必要があります。
自社会員の友だち追加・ID連携を促し、LINEをCRM活用の基盤として活用していくには、LINEログインを活用したLINEのID連携が有効な選択肢になります。
その理由は、ID連携と友だち追加を、ひとつの流れとして設計できる点にあります。
LINEログインを利用したID連携では、ユーザーは初回ログイン時に認証・認可画面が表示され、このフローの中でID連携と同時に友だち追加を完了させることができます。
その結果、サービス利用の意欲が高いユーザーを中心に、友だち追加とID連携が自然に増えていく設計が可能になります。

また、LINEログインを活用したID連携では、LINEの自動ログイン(オートログイン)によって連携後の体験をスムーズにできます。
LINEの自動ログイン(オートログイン)とは、LINEのID連携済のユーザーが、メールアドレスやパスワードを入力することなく、自動でサービスにログインできる仕組みです。
LINEのメッセージやリッチメニューからWebサイトへ遷移した際も、再ログインを求められることなく、そのまま利用を継続できます。
これにより、ログイン操作による離脱を防ぎながら、購入・応募・マイページ確認といった次のアクションにつなげやすくなります。
連携後の体験まで含めて設計できる点も、LINEログインを活用する大きな特長です。
▼LINEのオートログインとは?
https://socialplus.jp/line/autologin
一方、Messaging APIを利用したID連携では、ユーザーに認証・認可画面を表示せず、裏側でLINEユーザーIDを取得・紐づける形となるため、実装自体は比較的シンプルに進められるケースもあります。
ただしこの方法では、友だち追加がすでに行われていることを前提に、その後ユーザーに自発的にID連携を行ってもらう必要があります。
そのため、
を別々に設計・運用する必要があり、ユーザーの行動ハードルや施策設計の難易度が高くなりやすいという特徴があります。
このように、友だち追加とID連携を一体で進められるか、それとも段階的に促す設計になるかが、LINEをCRM活用の基盤として育てていく上での大きな違いになります。
なお、LINEのID連携は技術的な実装だけでなく、その後の活用設計や運用までを見据えて検討することが重要です。
自社開発での実装が可能なケースもありますが、LINEの仕様理解や、友だち追加・ID連携・CRM活用を一体で設計するには、LINEに精通したLINEヤフー認定パートナーであるTechnology Partnerの知見が大きな助けになる場面も少なくありません。
LINEテクノロジーパートナー
https://www.lycbiz.com/jp/partner/technology/line/
▶︎ ビルディ株式会社
ビルディ株式会社では、LINEログインを活用したID連携を導入し、会員登録と同時に自動で友だち追加を行う仕組みを構築しました。
その結果、導入から半年で友だち約15,000人を獲得。あわせて、ブロック率約3%と低い水準を維持しながら、LINEを継続的な顧客接点として活用できる基盤を整えています。
自社開発では実現が難しかったID連携と友だち追加を一体化した設計により、LINEをCRM活用の起点として活かせるようになった事例です。
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導入半年で友だち15,000人を獲得!ブロック率3%。LINEログインの自社開発からスタートした、ビルディのLINE活用の軌跡
LINEのID連携は、実装しただけで自動的に増えるものではありません。
ユーザーにとって自然な導線と納得感のある体験設計がなければ、ID連携は思うように広がらず、LINEをCRM活用の基盤として育てていくことは難しくなります。
ここでは、ID連携率を高めるために押さえておきたい設計のポイントを整理します。
ID連携率を高める上で最も重要なのは、どのタイミング・どの流れでID連携を案内するかという「導線設計」です。
ID連携は、ユーザーにとって必須の行動ではありません。そのため、どれだけメリットを丁寧に伝えても、導線が分断されていたり、操作の流れと噛み合っていなかったりすると、期待する効果は得られません。
特に重要なのが、以下の導線です。
このように、ユーザーの行動が途切れない流れの中に自然に組み込むこと、ユーザーが頻繁にアクセスする場所に設置することが重要です。実際に、新規会員登録導線やサンクスページといった導線を見直すだけで、ID連携率や、その後のLINE活用の成果が大きく変わるケースも少なくありません。

導線とあわせて重要なのが、ID連携後にユーザーにとってどんな体験が得られるのかを、事前に分かりやすく伝えることです。
ユーザーにとってID連携は、「何のために行うのか」が分からなければ後回しにされやすい行為です。
そのため、連携後の体験が具体的にイメージできる説明が欠かせません。
たとえば、
といったように、ID連携によって変わる体験を、ユーザー視点で伝えることが重要です。
加えて、クーポンや限定情報などのインセンティブを組み合わせることで、ID連携を行う動機をより明確にすることも有効です。

ID連携は、あくまでその後の顧客コミュニケーションを成立させるための入口です。
連携後に、
といった体験がなければ、ユーザーはID連携の価値を実感できません。
そのため、ID連携後にどのようなコミュニケーションを行うのかまで含めて設計することが、結果としてID連携率の向上にもつながります。
Q. 自社開発でLINEのID連携を行う場合、注意すべき点はありますか?
A.はい。自社開発でもLINEログインの実装は可能ですが、利用できる機能に制約が出る場合があります。
たとえば、自動友だち追加やLINE Profile+を利用するには「認証プロバイダ」であることが前提となり、この申請はLINEヤフー社の認定パートナー経由で行う必要があります。
LINEのID連携は、導入して終わり、という話ではありません。
どのデータをどうつなぎ、どんな関係性を築いていくかによって、LINE活用の成果は大きく変わります。
ソーシャルPLUSは、LINEログインによるID連携を起点に、会員データを活かしたLINEコミュニケーションの設計から実装、その後の運用・改善までを一貫して支援しています。
「自社の場合、どこから手を付けるべきか」
「今のLINE運用を、ID連携でどう進化させられるのか」
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